PVD(Physical Vapor Deposition)セラミックコーティング概要

マルチアーク(MAV)方式、ホロカソード(HCD)方式、代表的な2種類の方法を説明します。

※日本コーティングセンター(株)製品

PVD法には、真空蒸着、スパッタリング、イオンプレーティングなどがあります。当社はPVDの最先端をゆくマルチアーク方式のイオンプレーティング装置。また切削工具の分野で実績の高いHCDホロカソード方式のイオンプレーティング装置をそろえて、お客様の多様なニーズにお答えします。

マルチアーク方式イオンプレーティグ装置の特徴

1.低温処理

200℃~500℃の低温でコーティングします。そのため、熱による材質劣化、歪みがなくなりました。低温焼き戻し鋼への適用や寸法精度が要求されるものにもご好評をいただいております。

2.強固な密着性

大きな負荷電圧がかけられるため、処理物に対するイオンの衝突エネルギーが大きくなり、母材への拡散効果増大します。そのため、コーティング膜の密着性は他のPVD法によるそれに比べて、より強固になりました。

多数個のプラズマ発生源(エバポレーター)があらゆる方向に設置されているため、複雑な形状の処理物にも均一なコーティングができます。
また、装置は国内最大級の規模のため、大型の部品や長尺の処理物にも対応できます。

  • 長尺物:最大2.3m ・大径物:φ900mm ・重量:最大1000kg

長尺物大径物重量
最大2.3mφ900mm最大1000kg

4.複合膜・多層膜が可能

TiAlN、TiN/CrN、TiCN/TiN等。

ホローカソード方式イオンプレーティグ装置の特徴

ホローカソード方式イオンプレーティグ装置

1.高エネルギープラズマ

450℃~500℃のコーティング温度域。アーク方式に比べ、処理温度が高いものの、高エネルギープラズマを用いるコーティングは、切削工具に適した装置。

2.スムースなコーティング

アーク方式に比べ、平滑なコーティングが得られます。

3.TiCNコーティング

切削工具に実績のあるTiCNコーティングの主力コーティング装置です。多くの工具メーカーで用いられているタイプです。

その他の表面改質処理

メタルコート

湿式めっきでは不可能な分野への応用。

複合表面処理

素材表面改質とコーティング膜との複合効果。例えば、窒化+PVD、WPC+PVD、イオンプレーティング+スパッタリング、湿式めっき+PVDなど。

膜剥離サービス

鉄系基材では、素材の変質なく剥離可能。超硬基材の場合は別途ご相談下さい。

再研磨・再コーティングサービス

ご使用になった工具を再研磨、再コーティングを一貫して行います。生産コスト削減に。

超大型PVD装置導入により処理対象品が拡大しました。

大型部品大型弁、大型機械部品、プレス金型、樹脂用金型、ダイカスト金型等
長尺部品射出成型用スクリュー、ブローチ、ロール、リニアガイド、シャフト他
大型刃物丸刃(メタルソー、スリッター、チップソー)、直刃、大型ホブ他
量産小型部品機械部品…自動車部品、ミシン部品、電気機械部品などの小型機械部品 
切削工具…ドリル、エンドミル、タップ、チップ、リーマなどの切削工具

コーティング膜基本特性

膜種色調硬度HV摩擦係数耐食性耐酸化性耐摩耗性耐焼付性
TiN金色2000~24000.45
ZrN白金色2000~22000.45
CrN白銀色2000~22000.3
TiCN紫~グレー3000~35000.15
TiAlN紫~黒色2300~25000.4
Al2O2透明~灰色2200~24000.15
DLC黒色3000~80000.1